2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

美術館にあるものどれでも一つくれると言われたらどれがほしい?

そんなふうに美術館の展示品を観るなんて、いいのかな?と思うようなタイトルですが・・・。実は安野光雅が言っているんです。 「ただでくれると、と言われたら、どれにする?」というゲームを、一度試してみてください。 (『絵のある人生―見る楽しみ、描く…

美術館に行ったことがないほうがさびしい

私の教室で美術館見学ツアーをはじめたきっかけは、「こないだはじめて美術館に行ってきたよ!」と教室の生徒から聞いたことです。 母親の実家の近くに画家のアトリエを改築した美術館があって帰省した折に行ったのだが、子どもにとってのはじめての美術館だ…

そっくりに描くことは簡単だけど

佐藤忠良は彫刻家で、『おおきなかぶ』の絵を描いた人で、学校の美術や図工の教科書を作った人でもあります。王貞治の彫像を作ることになった彼が竜と未菜という幼い孫にこんなふうに話をします。 王さんの一本足を、あの形らしく作ることはやさしいけれど、…

これ、何の絵?

川合玉堂の展覧会に行ったときのことです。ちょうど隣りに父親と幼稚園ぐらいの男の子のペアがいて、こんなに小さい子を川合玉堂に連れてくるなんてずいぶん渋いねぇなどと、半分心配がるような気持ちで思っていたら、二人の会話が耳に入ってきました。 男の…

森村泰昌の「油絵=布」と見る方法

私は以前、ある美術を理解しようと思って、その前に立ってずっと見続けてみたり、いろんな角度から見ようとウロウロ歩きまわってみたり、今何をどう感じているかをメモしてみたりしたことがあります。それでもよくわからなかった。少しわかったけど、沢山わ…

さわらないとは、作品に敬意をはらうということ

とある歴史ある美術館の学芸員さんの話です。その美術館ができた当時は美術を見るということをしたことがない人がたくさんいたそうです。ですので、大人が彫刻にべたべたさわったりしたのだそうです。 どうして作品にさわってはいけないのか。「さわらないと…

「よかー・・・」とつぶやいてみるのだ

五木寛之の『戒厳令の夜』の話をしましょう。 江間という主人公の男はスペイン絵画の若い研究者で、スペイン美術を訪ねる旅という贅沢旅行の通訳兼ガイドとして随行した折、望洋という博多の老人に出会います。江間は自分は専門知識もあるし、絵画への理解は…

ミカンのわぎりだっていいじゃないか

ブルーノ・ムナーリは、私がたいそう尊敬する人です。イタリアの、美術家でもあり子どもの美術教育者でもある人です。 ムナーリの『太陽をかこう』は、太陽をどう描いたらいいのか太陽の描き方が書いてあるのかと思うとまったくそうではありません。 世界中…

「このえは、とても いい。でも、どっちからみたらいいのかしら?」

美術館には、ふだん見慣れている風景や人物ではない抽象画もたくさんあります。「これは何を表現しているんだろう?」と考えると頭が痛くなってきます。だから美術館は苦手、という人は多いです。見る人が自由に想像をめぐらせてよいのですが、とはいえ、「…

美術館となかよくなったら、今度はパパとママを案内しよう

教室の美術館ツアーで東山魁夷の展覧会に行ったときのことです。一番に申し込んだちーちゃん。実はちーちゃんのお父さんは東山魁夷が大好きで、「ちーはいいなぁ、そうか東山魁夷を観に行くのか、ちーはいいなぁ」と父親が家で何度も言っているんです、とお…