サイトのもくじ


本サイトでは、
小学生の芸術鑑賞のツアーを実施している子ども絵画教室が
「美術館となかよしになる方法」をおとどけいたします。
親子で美術館にいく時のもちものやすごしかた、美術館を2倍楽しむ子どものためのワークショップを紹介しています。

☆美術館となかよしになる方法☆
美術館にあるものどれでも一つくれると言われたらどれがほしい?
美術館に行ったことがないほうがさびしい
そっくりに描くことは簡単だけど
これ、何の絵?
森村泰昌の「油絵=布」と見る方法
さわらないとは、作品に敬意をはらうということ
「よかー・・・」とつぶやいてみるのだ
ミカンのわぎりだっていいじゃないか
「このえは、とても いい。でも、どっちからみたらいいのかしら?」
美術館となかよくなったら、今度はパパとママを案内しよう


☆美術館を2倍楽しむ子どものためのワークショップ☆

フェルメール「コトバとカラダで絵にせまろう」(《真珠の耳飾の少女》を言語と身体で表現する)
クレー「絵の実験」(クレーのように切ったりまわしたり)
ゴッホ「点描の発見」(点描ってどんなふうに描かれているんだろう?)
いわさきちひろ「制作現場アトリエの発見」(ちひろってどういう人だと思う?)
ガレ「工芸品との出会い」(家族にプレゼントをえらぼう)
ゴーギャン「色の感覚に鋭くなる」(色の魔術師ゴーギャンの色ってどんな色?)
シャガール「シャガール作品とオペラ『魔笛』との出会い」(「夜の女王」の衣装デザインをしよう)
ピカソ「キュビズムとの出会い」(きみの≪泣く女≫、ピカソの≪泣く女≫)
いわさきちひろ「新しい画材パステルとの出会い」(パステルで自画像を描こう)
岡本太郎「≪太陽の塔≫の発見とコラージュとの出会い」(太陽の塔をつくろう)


☆親子でいく美術館の歩き方☆

もちもの
ふくそう
館内のマナー
館内のすごしかた
鑑賞コースいろいろ


☆実際に子どもと行ったよ美術館☆

国立新美術館(乃木坂)
東京国立近代美術館(竹橋)
東京藝術大学大学美術館(上野)
ちひろ美術館・東京(石神井
岡本太郎記念館(青山)
世田谷文学館芦花公園
目黒区美術館(目黒)
逓信博物館ていぱーく(大手町)
サントリー美術館(乃木坂)


☆お問い合わせ☆

アトリエ木の日(もくのひ)絵画教室とは
アトリエ木の日(もくのひ)とは
美術館見学ツアー「先生と美術館にいこう!!」とは
美術関係、図書館関係、子ども関係のみなさまへ

フェルメール「コトバとカラダで絵にせまろう」(《真珠の耳飾の少女》を言語と身体で表現する)

ワークショップの目的
フェルメールとの出会い、《真珠の耳飾の少女》との出会い

(1)本、画集を読みきかせて作家について知る
フェルメールってどういう人だろう?
(『謎解きフェルメール』『フェルメールへの招待』で解説する)

オランダってどこにあるの? デルフトってどんなところ?
(『美術を巡る旅ガイド』で解説する)

(2)ワーク

美術手帖 2012年6月号増刊 特集 フェルメール

(1)この絵は《真珠の耳飾りの少女》というタイトルだけど、《青いターバンの少女》とも言われているんだ。
じゃあもし君だったらどんな題名にする? 絵のタイトルを自由に考えてみて。

(2)彼女、だれかとお話しているみたい。だれとしゃべっているのかな? セリフも考えよう。

(3)絵の少女と同じポーズをしてみよう。2人ペアになって、一人がポーズをとって、もう一人がポーズを直そう。首を傾けているところや、目の方向がむずかしいよ。
そう、これはね、ポーズをとるほうが「モデル」役で、直すほうが「画家」役なんだよ。

(4)絵のなかからいいと思う点をピックアップして体で表現してみよう。

(3)作家・作品との出会い、発見
できた?


(1)≪こちらを見る少女≫≪まちへでかけた女≫≪とおくを見つめる少女≫
(2)家族、友だち、まちで会った人、近所の人
「何買った?」(家族と) 「どこ行く?」(友だち) 「どうしましたか?」(近所の人) 「こんにちは」(近所の人)
(4)「ターバンの青色のところはやわらかい感じだけど、黄色いところはパサッとした感じ」「ほんわかとした太陽のあたりかた」「服はぼわっとした感じ」
「少女はとてもやさしい感じで動きものっとりとした感じだけどすっきりした面もある。」

このなかから一つ選び、カラダで表現した。
≪少女はとてもやさしい感じで動きものっとりとした感じだけどすっきりした面もある≫。



(1)≪ふり向く少女≫ ≪やまぶき色の服を着た娘≫
(2)お兄さん、友達、知り合い
「ねぇ行こう」(お兄さん) 「一緒に話そう」(友達) 「こっちに来てみて」(知り合い)
(4)「ターバンの長い部分のしなやかさ」「服のかたそうな感じ」「目のかがやきの様子」「ターバンのかげと光」
このなかから一つ選び、カラダで表現した。
このなかから一つ選び、カラダで表現した。
≪ターバンのかげと光≫



(1)≪ふりかえる娘≫≪私の恋人≫≪みつめる≫
(2)お母さん だれか親しい人
出かけようとしているところでお母さんに名前をよばれて、「ん?」とふりかえる。 「どこに行くんだい?」と言われたかもしれない。
親しい人となにかをたずねられて、「だって、・・・だもん」と、のんびり甘い声で答える。
(4)このなかから一つ選び、カラダで表現した。
「暗がりからうかびあがる様子」、「顔や真珠に光があたっている具合」、「しっとりした質感」、「青いターバンが巻かれている頭の感じ」。

このなかから一つ選び、カラダで表現した。
≪暗がりからうかびあがる様子≫


それじゃワークショップはこれでおしまい。フェルメールを観にいくのを楽しみにしてね。
東京都美術館マウリッツハイス美術館展」2012年夏に実施)

ワークショップの解説
(1)企画の意図
作品の特徴に注目する

この絵の特徴の一つは、「トローニー」だということです。この特徴を生かして、彼女はだれなのか、どういうシチュエーションか、を自由に想像するワークショップを企画しました。タイトルをつけるのも、特徴に注目させるよい方法です。
また、ポーズをとると、少女の目が二方向に向いていることが自然にわかります。「こっちを向いて。あれ、おかしいな」と子どもたちは目の向きに苦心していました。種あかしすると、「なぁんんだ、そうか、むずかしいと思ったんだ。だから、右目だけ合わせた」と言っていました。

?絵をコトバやカラダといった、ちがった方法で表現する
鴻上尚史による演劇のワークショップの方法を試してみました。
表現力のレッスン


(2)所要時間
1時間×1回

(3)使用した本
『謎解きフェルメール
謎解き フェルメール (とんぼの本)
なんだかワクワクする本。話し言葉なので、すいすい読めます。贋作や盗難についての読み物も楽しい。

フェルメールへの招待』
フェルメールへの招待
全作品を紹介しているのと、とくに著名な5作品についてポイントをしぼって解説しているのが読みやすい本。全作品を並べると、黄色いガウンや床の模様、窓や椅子や地図といった、フェルメールの好んだモチーフを指して、「ここにも!」「あ、これも!」なんていうのは、子どもは楽しいみたいです。

『美術を巡る旅ガイド』
美術を巡る旅ガイド ヨーロッパを代表する画家達 ゴッホ。フェルメール、ゴヤ、カラヴァッジョ、ムンク
オランダやフェルメールの出身地デルフトについて紹介するのにとてもいいです。マウリッツハイス美術館内の写真もあって、予習にぴったり。

(4)アフターミーティング(ワークショップ後の気づき等)
このワークショップでは、はじめてカラダを使った表現に挑戦しました。最初はとまどったような顔をしていたので、むずかしいかも、できないかもと思いましたが、結局、みんな一生懸命とりくんでいました。恥ずかしいみたいなので、講師も一緒にやるといいです。音やセリフや効果音を口で言ったほうがやりやすいんだろうかとも思ったのですが、いざやってみると、無音のパントマイムのような表現を、自分で振付、演出、主演までこなすレッスンになりました。

シンポジウムとワークショップのご案内


10/1(土)に、読書のアニマシオン研究会(アニマシオンクラブ)主催で“子どもの心に本を届ける”と題した読書のアニマシオン全国交流研究集会が開かれます。私は午後の分科会の一つを担当いたします。シャガールとオペラ『魔笛』の衣装デザインをテーマに、絵と音楽をミックスしてお届けする芸術鑑賞のためのワークショップです。シャガールと出会い、オペラをはじめて知り、衣装デザインにも挑戦! わくわく好奇心を刺激しながら美術にせまります。ご興味のある方、どうぞご来場下さい。

■日時 2011年10月1日(土) 午前10時〜午後4時30分  受付開始午前9時30分
■会場 明治学院大学白金校舎2号館(東京都港区白金台1-2-37)
■お申込
お名前、ご住所、お仕事・連絡先、参加希望ワークショップを添えて、下記までメール、メール、FAXまたは郵送でお申込ください。
笠井英彦 〒422-8062 静岡市駿河区稲川一丁目6-7-1706 
tel/fax 050-3440-4947
Email:hidehikok@yahoo.co.jp
■参加費 2000円(会員1500円、学生は500円)
■内容
①10:00〜12:15 基調講演・シンポジウム
○基調講演:「子どもの心に本を届ける」=種村エイ子さん(鹿児島国際大学短期大学教授)
○シンポジウム シンポジスト:岩辺泰吏(アニマシオンクラブ代表、明治学院大学)/種村エイ子(子どもの本かごしま、鹿児島国際大学短期大学部)/佐々木あさ子(青森アニマシオンクラブ、元小学校長)/山内絹子(沖縄アニマシオンクラブ、中学校司書)/菊池一朗(アニマシオンクラブ、高知市立介良潮見台小学校)

②13:15〜14:45 アニマシオンワークショップⅠ
A私の学校図書館づくり/福田瑞代(鹿児島市立武小学校司書)
Bブックトークとアニマシオン・その準備と語り方/廣畑環(アニマシオンクラブ:東京)+中学校開発チーム
C美術のアニマシオン、シャガールでアニマシオン/原口比奈子(アトリエ木の日絵画教室・埼玉)
G「沖縄の笑い」でアニマシオン/山内絹子(沖縄アニマシオンクラブ)+作戦開発チーム
③15:00〜16:30 アニマシオンワークショップⅡ  
Dアニマシオンを新国語教科書の授業に生かす/岩辺泰吏(東京)+渡部康夫(川崎・小)
E特別支援教室でのアニマシオン/菊池一朗(高知市立介良潮見台小学校)
F子どもの夢、大人の夢、中学生の夢でアニマシオン/笠井英彦(静岡・中)+中学校開発チーム

銀座月光荘ムーンライト展2011

この度、銀座月光荘ムーンライト展2011に作品が入選いたしました。
子どものための芸術鑑賞ワークショップでとりあげたシャガールがきっかけとなり、このところオペラ『魔笛』に夢中でして、登場人物5人をモチーフにしたコーヒーカップの絵付けデザイン、立体作品≪パパゲーノの塔≫≪夜の女王の城≫、絵本≪An Useless Architecture Papageno’s Tower パパゲーノの塔≫などの連作を出展しています。
ヘンテコ作品なのでどうだろうと危ぶんでおりましたが、実験的と評価されたのかなと喜んでおります。
ほかの作家の作品もたくさんあって楽しい展覧会です。銀座にお越しの節はぜひお立ち寄り下さいませ。
会   期:平成23年8月8日(月)〜8月14日(日) 11:00〜19:30(最終日16:00まで)
場   所:銀座月光荘 画室1・こんぱる前室・中室・後室 同時開催
       ※どこの画室に展示されるかは初日に発表されます
最 寄 駅:有楽町駅(徒歩9分) / 新橋駅(徒歩5分) / 銀座駅(徒歩6分)
在廊予定:全日程(昼休憩1時間)ただし8/8(月)のみ18:00まで
出展作品:(作家名:アトリエ木の日建築スタイル)
うさぎイラスト・・・≪森の音楽隊≫≪JAZZ≫≪音あわせ≫≪にんじんロケット発射!≫
魔笛カップ・・・≪パパゲーノ≫≪夜の女王≫≪タミーノ≫≪パミーナ≫≪ザラストロ≫
立体作品・・・≪パパゲーノの塔≫≪夜の女王の城≫
絵本・・・≪An Useless Architecture Papageno’s Towerパパゲーノの塔≫
≪An Useless Architecture Queen of the Night’s Castle夜の女王の城≫
銀座月光荘HP http://www.vesta.dti.ne.jp/~gekkoso/
出展作品

ワークショップ 申込受付中

 無事終了いたしました☆
5月のワークショップが好評につき、
9月も開催します。ぜひご参加ください。
PDFチラシ「子どものためのシャガール」

美 術 館 と な か よ し に な る !
子どものための芸術鑑賞ワークショップ
子どものためのシャガール

  子どもに美術に興味をもってほしい、
  子どもに絵の楽しさをつたえたい、
  でも、どうしたらいいだろう・・・?
  シャガールと出会い、オペラをはじめて知り、
  衣装デザインに挑戦するワークショップで、
  わくわく好奇心を刺激しながら、美術にせまります。
  終わったあと、きっと大人も子どもも絵が大好きになる!

内 容  : シャガールとオペラ『魔笛』の衣装デザインをテーマに、
      絵と音楽をミックスしたワークショップです
日 時  : 2011年9月18日(日) 13:30〜15:00
場 所  : かわぐち市民パートナーステーション キュポ・ラ本館棟M4階 会議室
       (JR京浜東北線 川口駅東口 徒歩0分)
対 象  : 児童教育関係、図書館関係、美術館関係、子育て関係の皆さま、
       さまざまなジャンルのファシリテータの皆さま、親子で美術館に行きたい方
        ※大人向けのワークショップです。子どもの参加はできません。
定 員  : 15名
受講料 : 2,000 円 (当日、現金にてお支払いください)
講 師  : 原口比奈子 (アトリエ木の日絵画教室 代表)
お申込 : アトリエ木の日(もくのひ)絵画教室
       TEL 048-262-1727(12:00−17:00 月火定休)
         mokunohi@mtj.biglobe.ne.jp
主催  : アトリエ0123

クレー「絵の実験」(クレーのように切ったり回したり)

ワークショップの目的
◆クレーとの出会い
◆再構成の発見

(1)本、画集を読みきかせて作家について知る
クレーってどういう人だろう?
(『クレーの絵本』を読み聞かせる)
クレーは音楽一家に生まれて、自身もヴァイオリンがとっても得意だった。音楽家になろうか画家になろうか迷ったけど、画家になることにした。音楽をモチーフにした絵もたくさん描いたよ。

(『クレーと黄色い鳥のいる風景』を読み聞かせる)
詩人の谷川俊太郎もクレーが大好きだ。クレーの絵に詩を書いている。クレヨンのスクラッチング、みんなも小さい頃やったことあるよね、クレーも同じ方法で絵を描いてるよ。黄色い鳥たち、顔だけのぞいてる鳥も、おしりだけ出してる鳥もいるね。色がきれいだ。

(『クレーの絵本』を読み聞かせる)
私が一番好きな絵の詩を読もう。「黄金の魚」という絵だ。金色の魚だよ。青い海の植物がとってもすてき。金色の魚はキラキラ輝いて見えるね。

(『パウル・クレーおわらないアトリエ』WEBサイトを見せる)
クレーは、できあがった絵を二つに切ったり、回したりして新しい絵を作った。

(2)ワーク
今日はね、ちょっとかわった紙を使うよ。薄い紙に1センチごとにブルーの点が並んでいる。この点々を使って絵を描こう。
描いたら次は、絵を切ったり回したりして絵の実験をしよう、クレーみたいにね。
材料はこれだよ。
点ポチ用紙    画材   はさみ

まずは、テーマを決めて点ポチ用紙に絵を描こう。
つぎに、絵を裏からすかしてみよう。絵に題名をつけよう。
つぎに、絵をまわしてみたら・・・?
つぎに、絵を切ったら・・・?
じゃあ、こんどは自分で実験方法を考えてやってみよう。
(3)作家・作品との出会い、発見
できた?
上段左から①最初に描いた絵 ②裏から透かしてみたら ③絵を回してみたら 
下段左から④絵を切ったら ⑤(自分で考えた実験方法)

①ふんすいのまち ②ゆきのまちみたい ③ひかっているまち 
④みずのまちみたい おはなのまち  ⑤すずみたいなまち(絵を折って)


①雪だるま ②じょうずにできたかな ③どうぶつ園のペンギンさん
④ねこととり  わたしがつくったロボット ⑤たのしい生活(もっと切ってみたら)


①太陽のようなさざんか ②つつまれる実 ③三つの島 
④山の世界  海の世界 ⑤生き物と人間がくらす島(折って透かす)


①絵の中の美術館 ②カラフルな公園 ③ひゃー落ちる〜! 
④木を温めるみんな  1人で遊ぶ ⑤にげる色たち(丸く切りとってみる)


①冬の星 ②雪のけっしょう ③きれいな時計
④にじ ゆめの中

切ったらきれいなことになりました。
ちがう作品になった。
もっと切ってみたらいろいろなどうぶつなどに見えておもしろかった。
一枚の絵にたくさんの題名と見かたができた。


それじゃワークショップはこれでおしまい。クレーを観にいくのを楽しみにしてね。
東京国立近代美術館パウル・クレー おわらないアトリエ」2011年夏に実施)

ワークショップの解説
(1)企画の意図
①作家の制作過程を体験する

普通、芸術鑑賞では完成された作品に注目しがちですが、今回のワークショップでは「画家が作品をどのように作ったのか」作家の制作過程に注目しました。クレーが再構成して作品を作ったのと同じ方法をワークショップで体験できるワークショップを目指しました。クレーもこんなふうにいろいろ実験したんだなぁと実感できます。
②新しい制作の方法を知る
作る途中で切ったり貼ったりすることはよくあることですが、一旦できあがった絵をさらに切るということは子どもにとって新鮮な行為です。こういう制作方法もあるんだ、という発見になります。

(2)所要時間
1時間×1回

(3)応用例
今回の展覧会には≪バルトロ:復讐だ、おお!復讐だ!≫が出品されていたので、≪フィガロの結婚≫の歌と組み合わせたワークショップも一旦は考えました。クレーは音楽をモチーフに作品を描いていますので、そういう方法も考えられそうです。
(4)使用した本
▽クレーの絵がたくさん載ってる。クレーをはじめて観るのにいい本。

クレーの絵本―どっちが主役? (小学館あーとぶっく)

クレーの絵本―どっちが主役? (小学館あーとぶっく)

▽色がきれい。一つの詩に対して絵がたくさん載っている。
クレーと黄色い鳥のいる風景 (おはなし名画をよむまえに)

クレーと黄色い鳥のいる風景 (おはなし名画をよむまえに)

▽こちらは絵と詩が同数、たっぷり掲載。
クレーの絵本

クレーの絵本

(5)アフターミーティング(ワークショップ後の気づき等)
このワークショップでは画集でクレーの絵をたくさん観て、ワークショップ後に実施した美術館見学ツアーでも多くの作品に触れることができました。美術館で「この絵は、ちょっとこわいけどちょっとかわいい」という子がいて、本当にそうだなぁと思いました。クレーが愛されるのはそこにあるかもしれませんが、一方でクレーの絵は慣れてないとむずかしく感じられます。絵にたくさん触れることで、このような思いが自然にわきあがってきたのではないかと思い、たくさん観るというのは大事なことだと実感した日でした。

ゴッホ「点描の発見」(点描ってどんなふうに描かれているんだろう?)

ワークショップの目的
ゴッホとの出会い
◆点描の発見
◆自画像の発見

(1)本、画集を読みきかせて作家について知る
ゴッホってどういう人だろう?

ゴッホが描いた場所を訪ねた写真集だ。このオリーブ林や糸杉、ゴッホはこんなふうに描いた。≪夜のカフェテラス≫、黄色がきれいだね。(『ゴッホを旅する』)

ゴッホにはテオという弟がいて、テオにたくさん手紙を書いた。絵のこととか、くらしとかね。今と違ってメールなんてないから、手紙でいろんなことをお話したんだよ。手紙を読むと、ゴッホがどんなことを考えていたかわかるんだ。(『ゴッホ』)

ゴッホはね、身近な人たちの絵をたくさん描いたよ。郵便局の人、近所に住む友だち。(『はじめてであう絵画の本10 ゴッホ』)

ゴッホは自分の顔の絵もいっぱい描いてるよ。
絵を描いてたりパイプを吸ってたり、ひげがあったりなかったり、帽子もいくつも持ってたみたい。




(2)ワーク
今日はね、好きな自画像をえらんで、そっくりに描いてみよう!
今日のワークショップで大事なのはね、点描の大きさと向きと形だよ。
ちょっとぐらい顔の形がちがっちゃっても気にしない、気にしない。
点描は、こういうのもあるし、こういうのもあるよ。
大きくて荒々しい点描  ぐるぐる  周りを囲むような向きの点描



材料はこれだよ。
画用紙     画材      画集


(3)作家・作品との出会い、発見
できた?
わぁ、がんばったね、みんなすごい絵ばっかり。それで描きおわって、どう?







ゴッホは、点で絵をかくのがじょうずでとてもきような人だと思う。
いろいろな色をどんどんかさなていってできているのがわかった。頭や顔に赤やみどりが入っていました。



絵などに不思議な色やもようなどをつかうので、とても不思議な人だと思う。
ぼくは、模写をして、上から色をぬるときは、下にある色がかくれてしまうので、下の色をこくして上にたしながらぬらなきゃいけないことを発見した。



ゴッホは、絵をなによりも大切にしている人だと思う。
おこりっぽい人
ゴッホのかく絵は、絵の具をたくさんつかう。ふつうは、1色でかくところを、3色4色もつかってかく。
絵のようにかくのがむずかしくて、大きいところしかできなかった。



ゴッホは細かいところまできっちりやる人だと思う。
点の一つ一つにむだがなくて、先に下の色をつけたほうがやりやすいことがわかった。最初はどうなるかと心配だったけど上手くできてうれしかった。



ゴッホはとってもまじめそうな人。かしこそう。きむずかしそう。だけど、やさしそう。
色がとにかくたくさんつかってある。線っぽい。あまりかこまない。はなが魔女っぽい。まゆげをかかないことを発見した。

それじゃワークショップはこれでおしまい。ゴッホを観にいくのを楽しみにしてね。

国立新美術館「没後120年ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」2010年秋に実施)

ワークショップの解説
(1)企画の意図
①作品と接する時間を多くかける

絵となかよくなるには、その絵とつきあう時間を多くかける、というのは一つの方法ではないでしょうか。模写をすると、その絵をじっくり観ることになります。そこで、ゴッホの絵の模写をしようと考えました。

②自画像から作家の人物を知る
画家の描く自画像は「どんな自分か」が表現されています。ゴッホの自画像をじっくり見ることで、ゴッホの人物にせまろうと思ったのです。

③作家の制作過程を体験する
普通、模写では色や形に注目しがちですが、今回のワークショップでは、点描の向きや大きさに注目しました。ゴッホも同じように、他の印象派の画家と親しくなって、点描の技法や色使いに工夫を凝らしています。ゴッホのこうした試行錯誤が体験できるワークショップを目指しました。

④能動的に鑑賞する
ゴッホの自画像はたくさんあるので、好きな絵を選ぶことができます。「ふーん、あの子はこういうのが好きなんだなぁ・・・」と、他の人と違う絵に取りくむことも楽しいですし、好きな絵を選ぶことで、絵に愛着を感じてほしいなと思いました。そのほうが身も入るのではないでしょうか。

(2)所要時間
1時間×3〜5回(個人差があります)

(3)応用例
①自画像以外のゴッホ作品の模写

模写がおもしろくなって、私もやってみました。
同じように点描の向きや大きさをうまく出すのを目的にしたので、下のほうの町はあまり細かく描いていません。でも感じは出ていると思うのですが・・・。≪星月夜≫は、ぐるぐるした点描が特徴的ですので、こうした模写には適していると思います。

ゴッホ作品のオマージュ
ゴッホを旅する』には、ますむらひろし市村正親の作品が載っています。ますむらひろしの絵は、ゴッホの≪ひまわり≫を元にねこがひまわりのまわりにぶらさがっています。市村正親は、自身の自画像をゴッホの自画像にあてはめて描いています。こういう絵に応用することもできそうです。

(4)使用した本

ゴッホを旅する (別冊家庭画報)

ゴッホを旅する (別冊家庭画報)

ゴッホが描いた場所を訪ねた写真集で、絵の構図そのままの写真が多数入っていて、子どもも喜んで見ていました。特にオリーブ林や糸杉の写真、≪夜のカフェテラス≫は、絵と見比べながらゴッホについて話ができました。オリーブ林の絵は、光がキラキラしてるね、なんていう子もいました。
ゴッホ (日経ポケット・ギャラリー)

ゴッホ (日経ポケット・ギャラリー)

ゴッホの手紙と絵が配置されていて、弟テオについて紹介するときに使いました。

はじめてであう絵画の本 (10)

はじめてであう絵画の本 (10)

こどもむけに解説されていて、きれいな画集です。

(5)アフターミーティング(ワークショップ後の気づき等)
時間がかかって途中で飽きちゃうかなぁと思ったのですが、意外と集中できました。途中、「つかれたら、休んでもいいんだよ」と声をかけました。もう限界かなと思ったら、早くおわらせておしゃべりしたり・・・。「そうか、つかれるのはいいのか」と、子どもが今の状態を受け入れることができます。
ワークショップ終了後、ある子に「どう? 時間かかって大変だった?」と聞くと、彼女は大きく息をはきながら「うん、でも時間かけるといいものができるなぁ!」と言っていました。充足感がえられたことに驚くとともに、大層うれしいときでした。